今日は2021年4月9日の動画
『SPACブーム鎮静化が宇宙銘柄に与える影響について』
から、じっちゃまこと広瀬隆雄さんの米国株の視点を共有していきたいと思います。
一部私なりに解説を付け加えた部分もありご理解の一助になれば幸いです。
動画はこちらです。
目次
じっちゃま(広瀬さん)の動画は、最初に彼の視点を解説し、その後視聴者からの質問に答えるという形式をとっています。
◆今回の動画のポイント◆
今日の冒頭でのポイントは次の3つです。
順番に見ていきましょう。
理由は
・ワクチンの接種状況に世界での地域差が出ており、今後もその差が解消される見通しが立たないこと
・アヘゴス(アルケゴス)の破綻に伴うSPACブーム終焉の可能性
を上げられています。
アメリカでのワクチンの接種は年齢制限が全部撤廃されており、
早ければ5月か6月くらいに集団免疫が成立しそうという見通しがあります。
その一方で、世界ではヨーロッパはアメリカよりも大きく遅れており、
新興国や日本はさらに遅れています。
これまではワクチンと共に同時に世界が回復するという見通しでしたが
日本や、新興国のなかでも例えばタイなど観光収入に対する依存度の高い国の景気回復の見通しを
変更せざるを得ない状況と指摘されています。
また中国では、中国政府はいち早く景気対策を行いましたが
いまは景気過熱を抑えるために銀行に対し
新しい与信を昨年と同程度の範囲内にとどめておくようにと指示を出しています。
これが素材株に対してマイナスに作用するという予測をされていました。
アルケゴス事件でクレディスイスは大きな損害をだしました。
また、グリーンシル投資でもスキャンダルとなっています。
さらにクレディスイスの抱えるリスクとしてSPACが挙げられます。
SPAC(特別買収目的会社)分野でクレディスイスは幹事銀行としての売り上げが多く
クレディスイスが今回の件を契機にリスクへの姿勢を見直し、同様の動きがシティグループなどにも広がると
今後のSPAC による資金調達が大幅にスローダウンするかもしれないという可能性を指摘されていますた。
日本や新興国など、ワクチン接種で出遅れている国は今後も集団免疫獲得の見通しが困難であり
将来的な経済の地域格差が大きくなる可能性があります。
IMFが4月6日に発表した「世界経済見通し」では
2021年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を6.0%、2022年を4.4%と前回よりも引き上げました。
ただこのワクチン格差を考慮すると、これがピークでこの後またダウンする可能性があります。
景気回復がはかどらず、ヨーロッパや日本、新興国などでも遅れると
いわゆるリモートワーク・在宅関連企業
例えばズームビデオやOKTA、あるいはペロトンなどが
今後も成長していくチャンスあると考えられます。
金利の観点では、10年債利回りは上昇基調にあります。
これはハイパーグロース株にとっては逆風です。
一方、世界がもう急回復しないということになれば
『長期金利の上昇も一段落する』ということが見込めます。
そうなればハイパーグロース株を再び買うことができると考えることができます。
じっちゃま(広瀬さん)としては
『バリュー銘柄よりもグロース銘柄の方がはるかにいい』という考えです。
もしじっちゃまが予想するように
今後クレディスイスなどがSPACのIPOに対する姿勢を変え、資金調達が減った場合
すでに今資金調達を完了し、合併を発表している先行組が
『圧倒的に有利になる』
可能性があります。
SPAC株に投資するリスクとして
新規参入が容易であることから次々と競争が激しくなること、
結果的にすべてのビジネスが苦しい立場になることがあります。
もしSPACに対するオープンさが失われた場合、
後続の競合他社が来ないため
すでに資金調達を終えて合併の発表をした企業がはるかに有利になるということができます。
そのため、SPACのビジネスの中でも
とりわけ資本集約的なビジネス
例えば宇宙開発やEV(電気自動車)でのSPACが見直される可能性を指摘しています。
具体的には宇宙関連銘柄で次の銘柄が挙げられていました。
ロケットラボ(Rocket Lab、合併先はVector Acquisition Corporation:VACQ)
スパイア(SpireGlobal、合併先はNavSight Holdings:NSH)
アストラ(Astra 、合併先は Holicity:HOL)
ブラックスカイ(BlackSky,合併先はOsprey Technology Acquisition Corp:SFTW)
※2021年4月15日時点では上記はいずれもSBI証券での取り扱いはありません。
(SBI側に希望を出せば取り扱いに採用されることもあります。)
続いて、視聴者からの個別の質問に答える時間があります。
具体的な個別銘柄について言及されることもあります。
記録として当ブログにも記載いたしますが、
推奨ではありません。
投資に関しては自己での判断・責任のもとで行ってください。
NFL との契約を獲得しているのでHOLD。
SP500よりもBTC(ビットコイン)に投資した方がよいか?(上昇余地がある?)という質問に対しては
ビットコインはチャンスはあると思う、
目先の方向性は上だと思う
という反面、
『途方もないリスク』
があるとしています。
米国株はミディアムリスクミディアムリターン
ビットコインはウルトラハイリスク・ウルトラハイリターン
と指摘しています。
暗号資産には、全部の投資資金を失うリスクもあります。
『どちらが儲かる』ということばかりにこだわり
リスクを勘案した上でのリターン
“risk adjusted return”
の発想が個人投資家には欠けていると指摘されています。
歴史を振り返ればもちろん
直近でのロビンフッド族、ゲームストップなどでも大きな損失を受けた人はたくさんいます。
最近はBTCは上昇していますが
全ての米国株を止めて100%BTCに振り当てるのではなく、
じっちゃま自身のポートフォリオの中での暗号資産の比率は
『3%から5%ぐらい』に抑えようと思っている、とのことです。
『ぼちぼちのリターンでもいいんだけれども全体として負けない』
という視点の重要性を指摘されていました。
RKT(ロケットカンパニー)のインサイダーの大量の売却についての質問について
『経営者が自分の株を売るのは当たり前』
であって経営者が自分の会社を支配するというのはごく当たり前のこと
慈善事業ではない。
それが嫌なら自分が買わなければ良いとのコメントをされていました。
また、RKTのビジネスは金利に大きく左右されるモデルで
長期金利が上昇することは逆風であると解説しています。
インサイダーの売却よりも、ビジネス自体に影響を与える要因に目を配るよう指摘されていました。
ビオンテック、ファイザー、モデルナのワクチン銘柄について
モデルナのワクチンと
ファイザー、バイオンテックが好調。
ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカは供給体制に不安要素がある。
バイオンテックの上昇余地は大きい。
モデルナとバイオンテック、2つの企業の商機は拡大すると思う。
来年以降も毎年ワクチン接種は必要になると思う。
そういった意味では一番恩恵を被る企業はモデルナ、
2番目に恩恵をこうむる企業はバイオンテック。
バイオンテックは今アメリカのジョンソン&ジョンソンと売上高を折半する契約形態だったが
来年度分からは契約が変わる可能性がある。
バイオンテックに有利な契約になった場合は
バイオンンテックの方がモデルナよりも上昇余地は大きい。
ファイザーは大企業でありワクチンだけのストーリーで
ファイザーを買うというのは適切ではない。
それ以外のワクチン銘柄はリスクが高すぎるため購入しない、とのこと。
J&J,アストラゼネカは副作用や生産面での問題も浮上している。
一方ファイザーはアメリカ政府からワクチン開発の資金も受けず自社で開発し、臨床試験も行った。ファイザーは独自でワクチン量産体制も構築し生産を始めた。
最初から自社の資金を使い、自分のリスクできちんとしたワクチンを開発した企業だけが今生き残っている。
そういうきちんとした真剣なビジネスをやっている会社の株を買いたいと自分なら思う、とのこと。
WFCは巻き込まれたとしても損害は大きくないと思うとのこと。
アルケゴス問題についても解説されていました。
(動画の32分以降から解説されています。
当ブログにおいては割愛いたしますが、この部分に関してモルガンスタンレーの情報が解説されており、アルケゴス関連に興味のある方は必見です。)
銀行株の決算への影響が懸念され、
またリーマンでは勝ち組・負け組の投資銀行の明暗が分かれた例を取り
(負け組:ベアスターンズ・リーマンブラザーズなど
勝ち組:JPモルガン・ゴールドマンサックス)
今回のアルケゴス事件を機にブローカレッジのマーケットシェアとかは激変するかもしれない、
同様に勝ち組・負け組が出るだろうとの予想をされました。
個別に悪い材料があるということは思わないとの前置きの上で
ただ半年前にシクリカル株がいいと考えたのは、
これからワクチンが完成すれば景気が回復するのでそのあたりが良いと考えたこと、
実際ワクチンが承認され経済は力強く回復している。
ただ株式では今を見るのではなく未来を見るべきであって
1年後、2年後の未来を考えると
現状ほど熱いホットな経済成長ではなく、もう少しマイルドな成長になるとの予測を示されています。
GDP成長率は今の4月の段階が瞬間風速として一番成長している、
来年以降は3%以降に落ち着いていくという方向性を示されました。
GDP成長率が3~2%であれば
じっちゃまとしてはハイパーグロース株の方がより魅力的だとおっしゃっていました。
個別では悪い材料は出ておらず株価の水準は低いので売る必要はないと思う。
だが旬かと言われたら一番旬な銘柄ではない。
OKTA,TTD,DOCU,ZMなどのハイパーグロース銘柄にはいいものがある。
コインベースは日本に対応していないが今後日本に参入するかについては否定的な見解を示されました。
その理由として
・日本に参入するよりもKYC(Know Your Client :本人確認)やAML(マネーロンダリング防止:Anti Money Laundering)をきちんと行うことが重要
・米国内での監督当局と良好な関係を築くこと
のほうがビジネス戦略としては重要なだと指摘されていました。
その理由として
・過去にロケットの打上げ実績がある
・すでに小型人工衛星を打ち上げている
・アセットが稼働している
・顧客に対して課金している
といった実績が欠けていると指摘されています。
引き続き良いと思う、との一方で
競合となりうる他社のIPOを指摘されています。
(名称は忘れた、とのことです。AppLovinの可能性がありますが定かではありません。)
新興国インデックスについて
ハイリスクでかまわない、一発当てたいというのであればとの前提で
VACC(SPACのベクターアクイジション:ロケットラボと合併)
を紹介されていました。
今一番人工衛星を多く打ち上げている会社はスペース X。
スペースXは宇宙関連銘柄で他の銘柄を圧倒しているとのこと。
そのスペースXがいよいよ子会社のスターリングを今後IPOするという段階が見えている。
もしスターリンクのIPOが発表された場合
宇宙関連銘柄が買われる局面が来るかもしれないと指摘。
その時に一番スペースXに行っていることが近く、
実績でもスペースX に次いで最も実績が多い会社がロケットラボ。
今買う必要はないかもしれないが、レーダーに入れておいて損はないとのこと。
同じロケット打ち上げのアストラは実績は少ない。
spire(NSH)は最も多くの小型人工衛星を打ち上げている。
ブラックスカイ(SFTW)
の4社が宇宙開発の中で一番実績もあり、推奨されるとのこと。
家庭用品企業を扱っており非常に地味なビジネスだけでも安定しているとのコメント。
MSCIは投資コミュニティ向けの意思決定支援ツールとサービスを提供しています。
MSCIインデックスという株価指数を作成しています。
現在9兆ドル以上の資産がMSCIの指標をもとに運用されています。
SP500よりもMSCIの方が好ましい理由として
MSCIの方が流動性を考慮した比重になっているため、
非常に多くの機関投資家がベンチマークとしてMSCIインデックスを利用しています。
ETFなどインデックスに依拠した金融商品を作ったユーザー業者はMSCIに対して使用料を払う必要があるので収益も安定している、というのがMSCIの良いポイントとして挙げられていました。
ドキュサインが決算発表も非常に良い内容で一番安全と挙げられていました。
2番目には『ハイリスクだけれどもまあ面白い』と
してUnityを上げられています。
C3AI は潜在的な市場規模が巨大である点と
上場銘柄でピュアなAI 銘柄が同社のみである点で
潜在的な上昇余地があるとされています。
一方でaiは一般企業の導入の難しさ、投資回収性に触れ売り上げが伸び悩んでいることも指摘されており、長期的な視点が必要かもしれませんね。
SP500は500銘柄のみ、
VTI は3000銘柄で行使されていることから
VTIの分散のメリットを挙げられています。
この質問に対し
じっちゃまならではのコメント。
・積み立ては長ければ長いほどいい
・すでに資金があるのであれば早く投入した方がいい
初心者ほどタイミングを気にするが
タイミングよりも分散に気を付けること。
今買って下落するリスクはあるがそれよりもっと強いリスクというのは
投資をしないリスク。
投資をしていない間にマーケットが上昇し、得られたはずの利益をみすみす逃したリスクのほうがはるかに大きいと指摘。
格差問題についても触れ、格差がついた理由は
『株や不動産などの資産をもっていた人が勝ち組になった』から。
投資のタイミングを後にずらすことで得られた利益をとり逃していることはよくない、とのことです。
facebook は今までの上値抵抗線をこえ、今はチャートでもよいとのこと。
一方モデルナはチャート上はそういったポイントではないと指摘。
アップル:上がってきているけれどシグナルはない。
116~145ドルのボックス圏にあるんと推察されています。
AI:今後も下落が続くかもしれないと指摘。
FCX:良いけれどシグナルは出ていない
ZM:シグナルが出ていない
結論は「わかりません」。
質問をする前に『チャートを見る』ことをお話されました。
旬の、いい局面に差し掛かっている銘柄はチャートが教えてくれる。
上場来高値更新などのタイミングを捉える。
上値抵抗線をブレイクアウトした、
あるいは下値支持線を下に切った・トレンドラインを死守した
そういった今大事な局面に差し掛かっている銘柄をトレードすること。
テクニカルには様々ななシグナルがあり
様々な線を描く人もいるが
他の人が見ているのと同じチャートを見ている人がどのくらいいるのかを考えること。
同じチャートポイントのシグナルを見ている人が多いほどそのシグナルがパワフルになる
→だからみんなが見ているものを自分も見る
そういう習慣をつけてチャートが読めるようにするとのこと。
独りよがりにならない、ということですね。
以上、長くなってしまいそうなのでひとまずここで終了とします。
後半は動画をご視聴ください。
・リモートワーク関連銘柄
・宇宙銘柄
・素材銘柄
・アルケゴス問題
・ポートフォリオ
などについて貴重なご指導をいただきました。
宇宙銘柄はなかなか身近ではないのですが、わかりやすいですね。
アルケゴス問題もクリアに解説されていて勉強になりました。
一部私なりに解説を付け加えた部分もありご理解の一助になれば幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
金利も刻々と変化しているのでそれに合わせて自分のストラテジーも微調整していくべき。